南米で見る、主にアメリカのドラマの感想などを書いています。
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『Feet of Clay』テリー・プラチェット
テリー・プラチェットはイギリスの作家で、日本ではあまり紹介されていませんがディスクワールドというユーモアファンタジーのシリーズで有名です(実は「サー」)。シリーズはヤングアダルトもの含めて38冊刊行されています。すべては「ディスク」、球ではなく円である世界を舞台にしていますが、最初の数冊を除くとそのことはあまり本筋に絡まなくなってきます。
全部がひとつながりのストーリーというわけではなく、おおまかに魔法使いのリンスウィンド、魔女、市の警察組織のシリーズと、それ以外の単発ストーリーがあります。シリーズ内でも厳密に話がつながっているわけではなくて(登場人物の関係などが進行していくことはありますが)、とりあえずは1冊ずつでも読めます。私はまだ一部しか読んでいないんですが、その中でも完全につながっていると言えるのは最初の2冊、『The Colour of Magic』と『The Light Fantastic』くらいじゃないでしょうか。この1冊目は『ディスクワールド騒動記(1)』として91年に邦訳が出ています。(1)っていうからには続く予定もあったんでしょうが、角川文庫のこの辺のシリーズは軒並み途中で終わっています。確かアシモフもあった。
『Feet of Clay』は警察シリーズの3冊目。このシリーズの中で、これを初めて読みました。ディスクワールドはたくさんある上、アメリカの空港の書店とかにたいてい置いてあるので目についたものを適当に買ってたからです。ディスクワールドには上記以外に数冊の邦訳が出ているようですが、警察シリーズは出ていません。一応ファンタジーというからには魔法とか出てきた方が売れるという判断なんでしょうか。警察シリーズはほかのディスクワールドシリーズと同じ世界で、魔法は存在しますがメインではないんですよね。また、魔法シリーズは中世っぽいんですが、警察シリーズは近世のようです。
ロンドンをモデルにしているらしいアンク・モーポークの市内で殺人事件が発生。市警察が捜査を行っている最中、市の統治者が倒れ、暗殺が疑われる。ユーモアファンタジーらしく多種族(ドワーフ、トロール、ワーウルフからガーゴイルやトロールまで)の入り乱れる警察がギャグを交えて行う捜査と、市の旧家の女性と結婚したために紋章入りの盾を作らなければならなくなった警察署長の話、男女の区別が外見からはわからないドワーフに生まれながら女の子らしくありたいと思う新入り警察官の話などが順不同に見えつつ交錯しながら進行し、最後には単なる言葉遊びと思えた部分さえ無駄にせずきっちり決着が付く構成に唸ります。
特に、最初の殺人事件がたまたまファンタジー世界で起きただけでどこにでもありうる話というわけではなく、この世界ならではの動機や犯人がきちんと設定されているのが素晴らしい。あと、中盤で最初の方の事件現場で実際に何が起きていたかが説明されますが、これは泣ける。
ユーモアミステリが好きでわりと読むんですが、大半のユーモアミステリよりも密度が濃く、読み応えがあります。ページ数も多いけど。
テリー・プラチェットはイギリスの作家で、日本ではあまり紹介されていませんがディスクワールドというユーモアファンタジーのシリーズで有名です(実は「サー」)。シリーズはヤングアダルトもの含めて38冊刊行されています。すべては「ディスク」、球ではなく円である世界を舞台にしていますが、最初の数冊を除くとそのことはあまり本筋に絡まなくなってきます。
全部がひとつながりのストーリーというわけではなく、おおまかに魔法使いのリンスウィンド、魔女、市の警察組織のシリーズと、それ以外の単発ストーリーがあります。シリーズ内でも厳密に話がつながっているわけではなくて(登場人物の関係などが進行していくことはありますが)、とりあえずは1冊ずつでも読めます。私はまだ一部しか読んでいないんですが、その中でも完全につながっていると言えるのは最初の2冊、『The Colour of Magic』と『The Light Fantastic』くらいじゃないでしょうか。この1冊目は『ディスクワールド騒動記(1)』として91年に邦訳が出ています。(1)っていうからには続く予定もあったんでしょうが、角川文庫のこの辺のシリーズは軒並み途中で終わっています。確かアシモフもあった。
『Feet of Clay』は警察シリーズの3冊目。このシリーズの中で、これを初めて読みました。ディスクワールドはたくさんある上、アメリカの空港の書店とかにたいてい置いてあるので目についたものを適当に買ってたからです。ディスクワールドには上記以外に数冊の邦訳が出ているようですが、警察シリーズは出ていません。一応ファンタジーというからには魔法とか出てきた方が売れるという判断なんでしょうか。警察シリーズはほかのディスクワールドシリーズと同じ世界で、魔法は存在しますがメインではないんですよね。また、魔法シリーズは中世っぽいんですが、警察シリーズは近世のようです。
ロンドンをモデルにしているらしいアンク・モーポークの市内で殺人事件が発生。市警察が捜査を行っている最中、市の統治者が倒れ、暗殺が疑われる。ユーモアファンタジーらしく多種族(ドワーフ、トロール、ワーウルフからガーゴイルやトロールまで)の入り乱れる警察がギャグを交えて行う捜査と、市の旧家の女性と結婚したために紋章入りの盾を作らなければならなくなった警察署長の話、男女の区別が外見からはわからないドワーフに生まれながら女の子らしくありたいと思う新入り警察官の話などが順不同に見えつつ交錯しながら進行し、最後には単なる言葉遊びと思えた部分さえ無駄にせずきっちり決着が付く構成に唸ります。
特に、最初の殺人事件がたまたまファンタジー世界で起きただけでどこにでもありうる話というわけではなく、この世界ならではの動機や犯人がきちんと設定されているのが素晴らしい。あと、中盤で最初の方の事件現場で実際に何が起きていたかが説明されますが、これは泣ける。
ユーモアミステリが好きでわりと読むんですが、大半のユーモアミステリよりも密度が濃く、読み応えがあります。ページ数も多いけど。
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